導入

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フォゼルフ2-5 前回からのあらすじ。任務を終えて、第7フォゼ師団に戻ろう としていたフォゼ尾。しかしながら、戻ろうとしていた所で 得体の知れぬ存在の「命は粗末にするものではありませんよ」 という言葉と共に、ホームに突き落とされ、次に気がついた 時にはこの世のものとは思えぬ惨状の列車内だった。 列車内のスピーカーからどうやら時間内に、 この列車から降りることが出来ないと、本格的に 自分の命が危ういと考えたフォゼ尾は、行動を起こす。 「どうかなされましたか、お客様。申し訳ございませんが、 わたくしは見ての通り《車内放送のためだけ》に乗車して おります。お手数ですがなにかご用事がございましたら、 他の乗務員にお伝えくださいませ」 「唇の車掌服姿の人影」がそれだけを告げた後に 「1駅目、ただいま通過いたしまsonoと更に続ける。 最初のスピーカーでも「終点」に3つの駅を通り越し辿り着いた のなら、命の保証がないといった旨を連想させるアナウンスを 覚えていたフォゼ尾は、「1駅目通過した」という言葉に時間が 確実に迫っていることに気がついた。 また、「唇の車掌服姿の人影」が車内放送のためだけに乗車して いるということなら、「乗車間違いを知る為の乗務員がいる筈」 と考えて、進行方向へと踵を返す。 そして最初にいた車両へと戻り、今度は進行方向への車両へ と移動した。その車両は座席を埋め尽くす人数の人々が座り、 全員深く俯いたまま動こうとしないといった状況になる。 ただ、殆ど席が埋まっているのにも関わらず一席だけ空席である が、その席は血まみれで、そこから引きずられたように次の車両の 扉へ続く血の跡がある。そして、その席の隣に幼稚園くらいの 小さな男の子が俯いて座っていた。 そして《目星》をして解ることは、先程の小さな幼稚園くらいの 男の子以外が、全員が既に絶命していることだ。 その絶命している乗客の中で一人女子高生が便箋を握っていて、 そこには「死ぬとか簡単に言っちゃダメだよ」と認められていた のが読むことが出来る。 それから、漸くフォゼ尾は幼稚園くらいの男の子に向かい 小さな寝息をたてているところに、ゆっくり肩を揺らし ながら呼び掛け不意にその顔があがれば、その両目から 血を流しているのがわかった。 フォゼ尾が驚き固まっている間に、男の子はまるで寝起き のようにごしごしと目をこすり、物凄く血が流れているん だが、その男の子は別にちっとも痛そうにしている素振り はみせないところで、前回は終わったな。
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