3/6
前へ
/42ページ
次へ
「初めまして。鶴野と言います。」 102号室にいたのは、軽くカールした紅茶色の髪がとてもチャーミングな20代の女性だった。 みぃ。 「こらこら、ノアちゃん大人しくしてなさい。」 可愛い鳴き声をあげて部屋の中から顔を出した1匹の小さな黒猫に軽く注意し、鶴野さんは心配そうに僕に向き直った。 「あの……今まで注意された事ないんですが……ペットOKなんですよね?ココ。」 知らないで飼ってる!? ま、まぁ別にいいけど……管理会社の人もペット禁止とか言ってなかったし。 それから僕らは軽く立ち話をした。 鶴野さんは写真家志望で、平日はキッチンカーを運転してオフィス街に出向き、軽食を提供する仕事をしているらしい。 「じゃあ、歓迎会やりましょう!あたしの料理食べて欲しいんで、是非参加してください!」 仕事柄か他人に料理を振る舞う事がとても好きらしく、天使の笑みを浮かべて彼女はそう提案してきた。 もちろん、僕がそれを断れるはずもなかった──
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加