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「初めまして。鶴野と言います。」
102号室にいたのは、軽くカールした紅茶色の髪がとてもチャーミングな20代の女性だった。
みぃ。
「こらこら、ノアちゃん大人しくしてなさい。」
可愛い鳴き声をあげて部屋の中から顔を出した1匹の小さな黒猫に軽く注意し、鶴野さんは心配そうに僕に向き直った。
「あの……今まで注意された事ないんですが……ペットOKなんですよね?ココ。」
知らないで飼ってる!?
ま、まぁ別にいいけど……管理会社の人もペット禁止とか言ってなかったし。
それから僕らは軽く立ち話をした。
鶴野さんは写真家志望で、平日はキッチンカーを運転してオフィス街に出向き、軽食を提供する仕事をしているらしい。
「じゃあ、歓迎会やりましょう!あたしの料理食べて欲しいんで、是非参加してください!」
仕事柄か他人に料理を振る舞う事がとても好きらしく、天使の笑みを浮かべて彼女はそう提案してきた。
もちろん、僕がそれを断れるはずもなかった──
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