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「……」
小学校を卒業した後も、桜を見に毎年来た。時々、先生が自分に気付いて話しかけてくれた。
「相変わらずここの桜が好きなんだね」
そう優しく言われ。
「うん、好きだよ」
笑顔で、純粋に答えていた。
「……」
その時から、もう随分年月が過ぎた。声をかけてくれた先生はもういない。時間が流れ、環境が変わり、多くの人と関わり、心をすり減らし、素直に笑えなくなり、もうあの頃の気持ちは無くなってしまった。
「……」
変わってしまった自分。けれど、変わらない桜。
どうしても比べてしまう。
だから、桜が嫌いだ。
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