0人が本棚に入れています
本棚に追加
母校の校庭が桜色に染まる。
今年もまた季節が巡った。
当時、小学生だった頃と変わらず、相変わらず満開で綺麗だ。人間である自分とは遥かに長い年月を生きているであろう。けれど、年月に削られた自分と違い、いつまでも美しく咲く姿。
いつからだろう。それが、とても嫌いになったのは。
「……」
幼かった頃は、純粋に好きだった。
太くてゴツゴツした大木に似合わぬ、桃と白の花を満開に咲かせる姿に感動した。
将来、桜の木になりたいと本気で願ったりもした。子ども特有の突拍子も無い夢だ。同級生にからかわれ、ムキになって「絶対になってやる!」と言い張ったこともあった。
今でも思い出すと、苦々しくて顔が歪む。
最初のコメントを投稿しよう!