口渇

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「いいよ。フェルノになら血を吸われても。」 「嫌だ、絶対。それなら飢えて死んだ方がマシだ。」 「俺が嫌なんだ。たとえ、フェルノに恨まれたとしてもお前を死なせたくない。だから...」 そう言うと、リュートが俺の拘束していた手錠を外した。 そして、リュートが白衣を脱いだ。 彼の首筋が露わになる。 俺は、ゴクリと生唾を飲んだ。 血は嫌いだ。そのはずなのに... 俺は次の瞬間、思いっきりリュートの首筋に牙を立てた。 「痛っ、」 痛みでリュートの髪が歪むのもお構い無しに、俺は血を貪った。 ジュルジュルと俺の体内にリュートの血が流れ込んでくる。 「ん......あぁ...」 リュートの爪が俺の背中にくい込んだ。 彼の呻き声が遠くで聞こえる。 それでも俺は血を吸うことを止められなかった。 「フェ、ルノ...いた、い」 俺は口元についた血を手で拭った。 嘘みたいに身体のだるさが消えた。 「はぁ...はぁ......」 俺は息を整え、我に返った。 すると、横たわってぐったりしているリュートに気づき、慌てて声を掛けた。 「リュート!!リュート!!!」 俺が殺した.........? 「リュート!リュート!!目を開けろ!!」 「うるさいな...貧血で動けないんだ、静かにしてくれ。」 「生きてた。」 「勝手に殺すな。」 リュートは力なく笑った。
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