裏世界と入り口1

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裏世界と入り口1

 「ここが、そうなのか......」  とある山の中にある古い神社の前に一人の青年が立っていた。 その青年は、白いパーカーとジーパンを着ている。髪は黒色の短髪で綺麗な黒い瞳をしているザ・日本人。顔立ちは女のような顔をしており、声も普通の青年より高く、女と言われても信じてしまうほどだった。    その青年が立っているところは誰にも手入れがされていない木製の神社だが、何故か綺麗なまま形を保っており、木材は苔が生えてはいるが逆にそれが味を出してとても神秘的な感じの雰囲気を出している。 青年は神社の前にある鳥居に近づくと息を深く吸い、何かを覚悟をしたように目をつむりながら鳥居をくぐり、目を開ける。しかし、何も変わらず視界には神社が映っており、青年は少しがっかりしたような顔をしている。    なぜ、青年がこんなことをしているのかというと一か月前に遡ることになる。  ______  「なぁ、冷坂(ひやさか)」  とある図書館で、二人の青年が大量の本を机の上におき読み漁っていた。二人の青年のうち、冷坂と呼ばれた青年は先ほど神社の前に立っていた青年だった。  「何?怜雄(れお)」  「これ、この記事ってさ.........」  怜雄と呼ばれるもう一人の青年が、冷坂にとある本の一ページを指さして見せる。その本は過去の不可解な事件が載っている新聞の記事を切り取り張られている本で、怜雄が指を指している先にあった記事にはある神隠しについての記事が書いてあった。    その記事は、〇〇島にある神社で起こった神隠しについての記事だった。記事の内容は、四人の中学生達が肝試しにその神社を訪れたそうだ。しかし、次の日になってもその四人の中学生達は家に帰って来ず、心配した親御さん達が警察に連絡し警察が調査したところ、その中学生達はその神社に行ったきり、どこにも行ってないという調査結果がでたという記事だった。  「これ、当たりかもな。行ってみる価値はあるかも。明日、日曜日開いてる?」  冷坂は記事を読み終えてスマホからカメラアプリを取り出し、記事の写真を撮る。  「あーごめん、冷坂。俺、いっしょに行けないわ」  怜雄はスマホを取り出しながら冷坂に向かっていい、冷坂はその言葉を聞き不思議そうに首をかしげる。  「え、なんか用事でもあんの?」  「おん、バイトだわ」  「そっか。じゃあ、久々に俺一人か」  冷坂は納得した様子で椅子から立ち上がり、机の上に積み上げていた大量の本を抱えあげた。怜雄も同じように残った本を抱えあげ、元あった場所に戻しに行った。
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