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Prologue
3%。
これはこの世界において人間が住める地域の割合である。
極寒の地域、灼熱の地域が混在する矛盾天。
魔物が蔓延り一度その地に足を踏み入れれば誰も通り抜けることが叶わない魔之死森。
だだっ広い草原に適切な歩き方をしなければ一生そこから出ることのできない迷宮草原。
神々が閉ざした未開の地、災禍之呪。
人々はこの地域の広がりから逃れるため昔は辺境と呼ばれた土地へ逃げ込んだ。
一般人は怯え、震え、何もできないまま死んでいく。
この世界が滅びるのは時間の問題。
それがこの世界の最後だ――
――と思っていた。
一部の人間に災厄への対抗手段が降り注いだ。
≪星術≫。かつて人間が見上げた空に浮かんでいた星々の力が強大な能力として駆使できる権利である。
≪星術≫を扱えるのは不幸なことに世界に15人しかいなかった。
だが、彼らはそんな少人数で偉業を成し遂げた。
世界の浸食を防いだのだ。
そして今まで人類が住んでいた土地を取り戻していった。
故に、3%。
解放以前は0.007%程度しかなかった時代から比べれば偉業である。
≪星術≫は種が途切れぬ限り一族が受け継ぎ続ける。
これは、守り戦い生き抜いてきた過去の≪星術≫使いの想いを受け継ぐ一人の英雄の物語である――。
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