1話

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ルカは人差し指を伸ばし、そのまま下ろした。次の瞬間、執事服が制服である学ランに変わる。…変えたという表現の方が合っているのだろうか。 ル「何見てんだよ、いつもと変わんねぇぞ」 シ「魔法を使える前提なのが、私には想像つかないからいいんだよ」 ル「…そうか」 お察しの通り、ルカは魔法が使える執事だ。 ルカ以外の魔法使いに会ったことがないからもしいたら話してみたい。このことをルカに言ったら機嫌が悪くなってしまったが。解せぬ。 ル「とっとと行くぞ」 シ「はーい。行ってきまーす」 私の執事は口が悪くて不器用で、何やかんやで優しい魔法使いだ。 住んでいる家は学校まで約10分で着くくらい近いところにあり、寝坊や遅刻しそうな時に便利ではあるが電車などの遅延を言い訳にできないのが難点かもしれない。駅にも近いのでこれからは通勤ラッシュが大変そうである。 シ「ん〜引っ越してきて何気に初めての外出かも。こんなに街の並びが違うんだねぇ」 ル「移動も夜中の車で景色を見る余裕はなかったしな」 私の実家は大阪と東京にありどちらの家も学校から微妙に遠く、つい2日前に橘家が古くから春宮高校に通うために使っている一軒家に専属執事であるルカと一緒に引っ越してきたのだ。そして移住や入学するための準備で家に引きこもっていた。せめて1週間くらい前には引っ越しが終わっていたかったなぁ。 シ「もうそろそろ着きそうだね」 ル「そうだな。…学校では執事としてではなく隣の家の住人として接するからな」 シ「そっちの方がいい!!」 これから3年間平和に頑張ろう!オー!!
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