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居心地の悪さを感じつつも、気にしないふりをして授業の準備を始める。こういうときに限って担任も来るのが遅い。そんな中、ただ一人俺に話しかけてくる人物がいた。友人の杉原港だ。
「龍星、大丈夫か?まだ整理がつかないだろうけどさ、なんかあったらいつでも相談乗のるし。いや、俺なんかじゃ何の役にも立たないかもしれねえけどさ、とにかく元気だせよな」
「ああ。ありがとな、港」
「おう」
つかの間の沈黙の後、俺は口を開いた。
「みんな、怯えてるみたいだな」
「無理もねえよ。うちのクラスから2人連続で、だもんな。流石に怖いよ」
港が眉をひそめる。
そうだ。6月と7月、2ヶ月続けて2年A組から死者が出ている。次は自分かもしれない、とみんな不安に思っているのだろう。
「あべっちも他の先生も、みーんな授業中上の空って感じだぜ」
港の言う通り、もともとドジな担任の阿部はいつも以上にミスを連発し、他の教師たちも心ここにあらずといった様子だった。
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