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親愛なる道化師様へ
おめでとうございます。
あなたは今月の道化師に選ばれました。道化師の仕事は人を楽しませること。今日から13日以内に人を殺してください。これはあなたの使命なのです。もしも使命を果たせなかった場合、あなたには死の制裁が下ります。
それでは、極上のエンターテインメントを期待しています。
死神
やっぱりそうだ。七瀬は『道化師』に選ばれていたんだ。だからあんなことを…
「きゃあっ!!て、て、手紙!」
「うわっ!び、びっくりした!」
俺は思わず椅子から落っこちそうになった。なんだよ、起きたのか。
「突然大きな声出すなよ。心臓が止まるかと思った」
「ご、ごめんなさい。でも、手紙」
七瀬は消え入りそうな声で言った。
「なあ、これ『死神』からの手紙ってやつだろ。お前は『道化師』に選ばれて、それであの子を突き落としたんだろ?」
「……先週の金曜日に、手紙が下駄箱に入ってて……それからずっと、怖くて、怖くて、おかしくなりそうで…でも、だからって人を殺して良いわけじゃ無いし……どうしよう私、あの女の子を……どうしよう、どうしよう……」
七瀬は肩を震わせ、荒い呼吸を繰り返す。
「おい、ちょっと落ち着けって!!彼女は無事だ。ちゃんと生きてるし、怪我もしてない。だから大丈夫だ。」
俺の言葉を聞くと、七瀬はベッドの上にへなへなと座り込んだ。
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