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「あっ、あの!」
今まで置物のようにずっと黙っていた七瀬がようやく声を発する。
「どうして今月は『道化師』が何人もいるんでしょう?今までは毎月一人だったのに、今月は私だけじゃなかったってことですよね……?」
七瀬は初対面の2人に緊張しているのか、少し上ずった声で言った。
「確かにそうだよな。どうして……」
「ちょっ、ちょっと待った!」
港が俺の声を遮る。
「お、お前……七瀬さん、だっけ?『道化師』なのか!?」
「う、うそ……」
白石は口元を覆う。
ああそうか。2人には言ってなかったんだ。
「悪ぃ。説明してなかったな。」
俺は七瀬が今月の『道化師』だと偶然知ってしまったこと、そして2人で『死神』を捜していることを話した。2人は神妙な面持ちでそれを聞いていた。
「龍星。お前、それがどんなに危険なことかわかってるのか?『死神』に近づいたら、お前も死ぬかもしれないんだぞ!」
「そんなことわかってるよ!でも俺は百合園が死ぬ原因になった『死神』を野放しになんてしておけない。それにこのままじゃこれから先何人も死人が出る。だから、俺が奴を止めるんだ」
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