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「俺らもそろそろ帰るか」
「あ………うん」
七瀬はなんだか浮かない顔をしている。
「どうかしたか?」
「ううん。何でも無いよ。帰ろう」
七瀬は慌てて首を横に振ると、テーブルの上の荷物を片付け出した。
「七瀬、この後何か予定ある?」
「えっ?特に無いけど」
「じゃあ、俺らだけでもう少し続けよう。『死神』捜し」
「で、でも矢神くんだって、休日だしやりたい事とかあるでしょ?」
「俺もこの後何も無いし。それに期限まであと4日。バスケ部の奴らが帰ってくるまで何もしないんじゃ、七瀬も不安だろ?」
「矢神くん……気づいてたの?」
「そりゃあ、顔に『不安です』って書いてあるからな」
「う、うそ……」
「忙しくしてた方が気が紛れるじゃん?」
「矢神くん、ありがとう。 」
「え?」
「矢神くんのお陰で、少しだけ『死神』が怖く無くなった。何でだかわからないけど、矢神くんがいれば大丈夫な気がしてくるっていうか………ごめん。私、変なこと言ってるね」
「いや。そんなことねえよ。役に立てたなら良かった。じゃ、始めよっか」
「うん」
七瀬は嬉しそうにはにかんだ。
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