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「ん?どうかした?」
「あ、いや……百合園ってほんと甘い物好きだよな」
「うん、大好き」
「好き」という言葉に思わず飲んでいたコーラを吹き出しそうになる。言葉一つに翻弄されてしまうなんて、まったく、俺らしくない。
「ねえ矢神くん、この前のテストどうだった?」
「あー、まあまあかな。前回よりは多少上がった」
「やっぱり矢神くんはすごいなあ。ただでさえ優秀なのに」
「そんなことねえよ。で、百合園はどうだったんだ?」
「私ね、数学が30点も上がったんだよ!」
「まじ?すげえじゃん」
「矢神くんが教えてくれたおかげだよ。本当にありがとう」
綺麗に巻かれた栗色の長い髪がふわりと揺れる。
「お、おう」
それから俺たちはしばらく他愛も無い会話を続けた。
そして飲み物の氷が溶け切った頃、俺はついに話を切り出した。
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