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「七瀬、それ本気か?一歩間違えたら犯罪だぞ?」
「わかってるけど……でも私、このままじゃ殺されるんだよ?それに、犯罪を止めるための犯罪なら、ただ悪いだけじゃないでしょ?」
控え目で大人しい印象だった七瀬は、珍しくはっきりと言った。
「わかった、やろう」
数十分後、俺たちは「フェアリージュエル」に来ていた。
「お待たせいたしました。ご注文は」
「ミルクティーとアイスコーヒーを」
店員は一瞬面食らったような顔になるが、すぐに作り笑いを浮かべると「かしこまりました」と去っていった。パンケーキの名店なのに飲み物しか頼まないのかよ!と思ったのだろう。
そんなことはさておき、早く落とせそうな店員を見つけなくては。俺の手元には先程行列に並んで買ってきた大人気店のドーナツがあった。
「矢神くん、何でドーナツ?」
七瀬は戸惑った様子で俺に尋ねる。
「いや、だってさすがに現金渡すのはまずいだろ」
「ドーナツならいいの?」
「…………そういうわけでも無いだろうけど」
俺たちがしようとしていることはこうだ。
①甘いものが好きそう&口が軽そうな店員を見つける
②ドーナツで釣って日曜日に面接に来た人の情報を聞き出す
③「人気でなかなか買えないドーナツあげたんだから、このこと他の人には話さないでね」と口止めする
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