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「マジかよ。こんなスムーズにいくとは思わなかった」
「そうだね」
「ドーナツすげえな」
「恐るべしドーナツ」
この店もドーナツに釣られるような従業員雇っちまっていいのかよ。そんな話をしていると、先程のギャルが戻ってきた。
「はい、これ。日曜に来たのはこの子だけ。18歳ってあったから呼んだんだけど、実際来たら高校生だったから面接はしなかったみたい。だから履歴書とかは無いけど、応募した時の情報がパソコンに残ってたからコピーしてきたよ」
そして彼女は俺達の前に一枚の紙を置いた。
「これでいいでしょ?じゃ、ドーナツもらうね。ありがとー!」
そういうと上機嫌で仕事に戻っていった。
「「え……」」
俺たちは再び声を合わせた。
「矢神くん、この人って……」
「ああ」
そこに書かれていたのは、驚くべき人物の名前だった。
狩野あかり。
『死神』の投稿、その実物をSNSで引用し、噂を広めたと思われる人物のうちの一人だ。事件の日の面接に、SNSの投稿。これが偶然なんてことがあり得るか?普通だったら考えられない。だとしたら
「こいつが『死神』……」
百合園を殺した犯人……
「ちょっと待って矢神くん。まだそうと決まったわけじゃない。お店に面接に来ただけでキッチンに入れたかはわからないし、SNSの投稿だって、狩野さんは最初の投稿を引用しただけだし」
「『死神』が自分の投稿を拡散するためにやったことだとしたら?全部自作自演だったとしたら?あのSNSはアカウントを3つまで作れる。1つのアカウントで最初の投稿をし、残りの2つでその投稿を広める。これなら同じ人間がわざわざ2つのアカウントで同じ投稿を引用した理由も説明できる」
「そうだけど、とりあえず今は月曜日を待つしかない」
「ああ」
もし狩野あかりが本当に『死神』だとしたら。俺は彼女を……………
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