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「は?」
俺は一瞬自体を飲み込めなかった。狩野あかりが死んだ?
「ど、どうして?どういうことだよ?」
「合宿中に突然死んだらしいって……。登校したらみんなが話してたの。詳しいことはよくわからない」
「うそだろおい……」
この週末だけでも3人もの人が死んでいる。こんなの異常事態だ。
「どうしよう。せっかく手がかりを掴めたと思ってたのに……」
一番怪しかった人物が死んだ。これにより、捜査はまたふりだしに戻ってしまうことになる。
「ああ、もうどうすりゃいいんだよ」
俺は頭を抱えた。
「どうしたんだよ龍星」
顔を上げると、そこには今さっき教室に入ってきた港の姿があった。
「港。狩野あかりが殺された」
「はあっ!?」
呆気にとられている港にも事情を説明した。
「マジかよ……」
いつもはお調子者の、港もさすがに今は元気をなくしている。
「どうすんだ?手紙の期限まであと2日しかねえのに……」
そうだ。あと2日で『死神』を見つけられなかったら、七瀬は殺される。
「とりあえず他の2人、近藤スミレと上田真梨に話を聞いてみましょう」
昼休み、七瀬にも事情を話し、俺たちは近藤スミレと上田真梨に会いに行った。だが結果は虚しく、【アリス】と【姫】のアカウントは彼女たちのものではなかった。『死神』の投稿も知らないという。
そしてその後期限までの2日間、俺たちは水野菜々子の事件の目撃者を探した。だが、こちらもめぼしい情報は得られなかった。これ以上『死神』を捜す術も時間もない。完全に詰みだ。
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