Looking for the Grim Reaper

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「ごめん七瀬。俺、結局何もできなかった。絶対『死神』を見つけ出すなんて言って巻き込んだくせに……バカだよな」 「そんなこと無い。できることは全部やった。精一杯抵抗した。ここまでして死ぬなら、もうしょうがないよ。それに私ね。今まで、人と話すの苦手で友達ほとんどいなかったんだ。だから不謹慎だけど、たとえこういう形でも、矢神くんと、杉原くんと、玲奈ちゃんと、一緒にいろいろできて楽しかった。だから今死んでも悔いはないよ」 「七瀬……ありがとう。でもダメだ。お前は死なせない。まだ終わったわけじゃないんだ」 「そうだよね。最後にに賭ける」 もう後が無い俺たちの最後の砦。それが「七瀬おとり作戦」だ。 作戦は名前の通り、七瀬をおとりにして『死神』をおびき出すというもの。手紙の期限が切れ七瀬がルールを破った今、『死神』は確実に七瀬を殺しに来る。殺すならもちろん、周りに人がいないほうがいいだろう。だからわざと七瀬を一人にして『死神』に殺すチャンスを与える。俺たちは隠れて監視し、七瀬を襲おうとした『死神』を捕まえる。 うまくいくとは限らないし、リスクは大きい。失敗したら七瀬は死ぬだろう。そもそも『死神』は姿を現さないかもしれない。百合園のように毒殺する可能性もあるんだ。でも、もうこうするしかない。危険だろうが失敗しようがやるしかないのだ。 もしかしたら、俺たちの予想通り狩野あかりが『死神』だったのかもしれない。その可能性は十分ある。実際、狩野あかりは怪しかった。死んだからといって疑いが消えたわけではないのだ。 『死神』が死んだのなら、それが一番いいだろう。そうすればこの狂った連続殺人も終わる。「七瀬おとり作戦」を実行する必要もなくなる。普段の日常が戻ってくる。 でも何故か俺は、この状況が終わりを迎えるとは思えなかった。『死神』がそんな簡単に死ぬなんて思えなかった。この先も『死神』の恐怖からは逃げられない、そんな気がしていた。
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