殺人中毒

Encounter

そして極めつけは4人目、百合園葵の死だ。店で食事中、毒殺された。容疑者は未だ不明だ。

と言っても、最初に疑われたのはこの俺なのだ。まあ普通に考えて仕方のないことだろう。最後の最後まで一緒にいたんだからな……

そういうことで俺は数回警察から事情聴取を受けた。事件には無関係とはいえこの時はだいぶドキドキしたのだが、幸いなことに防犯カメラの映像があったことなどから俺の疑いは晴れた。
しかし、一番疑わしかった俺が容疑者から外れてしまったことで、捜査は難航しているようだった。

そして百合園の死から5日が経った金曜日。あれからずっと学校を休んでいた俺は、一週間ぶりに登校することになった。

いつもは騒がしい朝の教室は今日は恐ろしいほどに静かだった。足を踏み入れると、皆が一斉に俺の方を見る。気まずさを覚えながら席に着と、クラスメイトたちは俺のことをチラチラ見ながら、何やらひそひそと話している。

「矢神くん死ぬ直前まで百合園さんと一緒にいたんだって」
「もしかしてあいつが『死神』？」

事件の日、俺と百合園が一緒にいたことはクラス中に知れ渡っているらしい。そりゃ疑われるよな。俺だって同じ立場だったらきっとそう思うだろう。