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そうしてバッティング練習は続き、気付けば夕方になりつつある空を見ながら「この世界もちゃんと日は沈むのか」と思って疲れきった身体を休ませている。
「あー、良い汗かいたー!♪、ちょっと早いけど寮の方に行ってお風呂に入りましょう、早苗さん」
そうして七海ちゃんにつれられて寮にやってきた私達は、お風呂場に行きお湯を沸かす。
「この寮大きいわね、そこに私達2人だけしかいないなんて」
「そうねー、500人くらいは入れる広さよね、学校も広いし、グラウンドも広いし、そこを私と早苗さんだけで使うなんて贅沢よねー。しかも食材もたくさん保管してあるし、腐らないし、勉強道具やら遊び道具のラインナップも充実してて、ほんとに極楽~♪」
と七海ちゃんは上機嫌に小躍りしている。
「そろそろお風呂がたまるわね、早苗さん一緒に入りましょう!♪」
と私に顔を寄せてくる七海ちゃんに「いや、恥ずかしいから、七海ちゃんお先にどうぞ」というが「えー、一緒に入りましょうよ早苗さん、お風呂も広いんだしー!」としがみついてくるが。
「いやあの、ほんとに恥ずかしくて、ごめんね七海ちゃん!」
「うーん、そうかー、じゃあしょうがないかー」
とちらちらとこちらを見ながらも諦めてくれたが。
「その代わり!寝るときは一緒のベッドで寝ましょう!大丈夫!ダブルベッドが置いてある部屋があるから!ね!ね!早苗さん!♪」
そう言う七海ちゃんの情熱的なお誘いに負けて、一緒に寝ることになってしまったのである。
お風呂を終えて、私達は食堂に行き晩御飯を食べる事になり、といっても誰も居ないのでお昼と同じく私達で作って食べる事に。
どんなものがあるのか棚や冷蔵庫を見ていくと、私はあるものに目を輝かせてしまう。
これはビール!こっちには色とりどりのお酒!そしてそしてなんと!!
「こ、これは!石川県の黒ビール!!」
の、飲みたい、すごく飲みたい!!というか学校の食堂にこんなものがあって良いのだろうか!?いやここは異世界!!学校の食堂にお酒があってもなんらおかしくは無いのかもしれない!♪。
「ダメですよ」
と後ろから檄が飛んでくる。
「七海ちゃんは17歳だからダメだろうけど、私24歳の大人なの!そしてお酒は私の毎晩の楽しみなの!それにこんなにいろんな種類のお酒があって、飲んだことの無いお酒もたくさんあるの!なぜかセーラー服を着せられてる私だけど、24歳の大人なの!だから飲んでも大丈夫なの!」
と、必死にお酒を飲みたい一心で、私は二十歳以上だとアピールするが。
「この世界ではセーラー服を着ている人は、何歳であっても飲酒はダメです!」
「なら私はセーラー服を脱ぐ!下着だけでも構わない!!」
そう言ってセーラー服を脱ぎ捨てようとする私を、七海ちゃんが必死に止めてくる。
「さっきまで一緒にお風呂を恥ずかしがってた人が、なにを血迷った事を!下着姿で晩ごはんなんて私が許しませんからね!」
激しい攻防?の末、私はお酒を取り上げられてしまった。
「うぅ、お酒~、、、石川県の黒ビール~、、、」
私は嘆く、嘆きながら七海ちゃんに教わりながら作った海鮮アヒージョを食べる。ああ、このアヒージョ、絶対あのビールに合いそう。
「そんないつまでも落ち込まないで早苗さん、私も別に意地悪でダメって言ってるんじゃないんだから、早苗さんの身体を想って言ってるの、あと少しだけネタバレしちゃうとね、早苗さんが飲みたがってた黒ビール、あれ味しないから」
味がしない?どういうことだろう?、七海ちゃんはもしかして飲んだことあるの?、と思い尋ねると。
「あれは早苗さんの記憶が持ってきた物なの、でも早苗さんはあれは飲んだこと無いでしょう?、私も当然飲んだことが無い、私も早苗さんも味を知らない物は形だけの代物になっちゃうのよ、つまり中身はただの水と一緒なのよ。同じように早苗さんの記憶から持ってこられたこのフカヒレの高級缶詰めも、2人とも食べたこと無いから味がしないわよ」
と、説明してくれたが、記憶から持って来たとはどういう事だろう?、謎は増えるばかりだ。
しかし先程の説明ならば私や七海ちゃんが口にしたことがあるものなら美味しくいただけるという事になるわけなので、飲んだ覚えのあるお酒を飲んでも良いですか?と聞くが、笑顔でダメですと言われてしまいましたとさ。
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