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翌朝。高鳴る胸に手をあてて、下駄箱を開けたわたしの目は点になる。
「え」
何故ならそこには、普段と同様の内容の手紙が入っていたから。
『今日も早く、先生に会えないかな。授業が楽しみです』
昨日のわたしの質問にはスルー。そしていつも通り、差出人の名前も書かれていない四つ折りの手紙。
「え、え、なにそれっ。君は最後まで、正体を明かさないつもり?」
よっぽど照れ屋なのか、内気なのか。どちらにせよ、相手が名乗ってくれないのであれば、もう指紋認証をする以外他になし。しかしそんなことは無論、一個人のわたしが行政機関に頼んだところでできるわけもない。
がっくりと肩を落とし、職員室へと向かう。その後ろではサッサッサッと、今日も高地さんが掃除する音が聞こえていた。
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