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じい(2023/03/20-)
2023/03/20
さて、ようやく遺小説の始まりである。
最初の話だから重くない話にしようとか、自分を知ってもらえる話にしようとか、そうゆうことは出来るだけしない。するとしても、最近起こった大きな出来事があれば、それを優先して、この小説は書いていく。
故に、初っ端からで悪いが、とても重い話だ。
祖父の命がそろそろ終わりそうなのだ。
祖父のことを、私や私の家族、従兄弟は「じい」と呼ぶ。
昔のことは知らないが、家にいた頃のじいはとても穏やかで、耳が遠く、窓の近くに座り新聞を読んでいる印象が強い。そしてほどほどにボケている、普通の年寄りだった。
老人ホームには、数年前から入っており、2023/03/18に、私は久しぶりにじいの顔を見に行った。私は県外の大学に通っており、加えて新型コロナの影響で、なかなか顔を見に行くことができていなかった。
18日に、母や母の姉に、老人ホームから連絡がきた。
端的に言えば、じいはいつ死んでもおかしくない状態になった。
手術や薬で治せるようなものではなく、もしあと何日、何週間かを生きれても、これ以上、状態が良くなることはないだろう。そんな状態だ。
病名はよく知らないが、癌ではなかったと記憶している。
そんな状態だからこそ、少し無理を言って面会に行かせてもらえたのだ。こんな状態にならなければ面会にさえ行けないとは、つくづくコロナは邪魔だと思った。
面会に行くと、今日は少し調子が良かったらしい。じいはもう、自分の足で歩くことはなく、ベッドに寝たきりの状態ではあったが、しっかりと目を開けて、私を見ていた。
手は動いてはいたし、握ってあげると握り返してくれたが、その後、寒いのか、毛布を少しだけ動かして、自分に掛ける動きをした。腕はとてもザラザラと乾燥していた。
喋りはしなかった。そもそも酸素を供給する呼吸器をつけていたので、喋ることが難しいのは、見てすぐにわかった。
調子が良くてこれなのか。そう思った。
2日後の今日20日に、老人ホームから病院の個室に移り、入院となった。
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