第1話 黒い霧発生! 魔物到来

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第1話 黒い霧発生! 魔物到来

ここは東部師団員育成学校。位置にして前の日本の関東地区に位置する、第1師団・2師団に入るための師団員を育成する学園である。15歳になると受験ができ、普通科・医療科・オペレーター科の3つの科がある。 毎年、何万人という少年少女が受験し、受かるのは各科100人ずつという狭き門なのである。 今年、この学校に入学できた月風翔(つきかぜかける)は胸を躍らせていた。校舎前に立っていた翔は後ろから強い衝撃におされ、倒れてしまった。後ろを見ると、そこには翔の腐れ縁で幼馴染の朝比奈向日葵(あさひなひまわり)が悪い顔をして立っていた。  翔:  「なにすんだよ向日葵!痛いじゃないか。」  向日葵:  「いやー翔がぼーっと立っているのが悪いんでしょ。せっかく合格したんだから堂々としてなさいよ。実技審査1位だったんでしょ。」  翔:  「おまえも女子の中じゃ1位だったそうじゃないか。」  向日葵:  「まあね、だてに鍛えてないわよ。」 そう言ってドヤる向日葵に翔は少しいらっとした。  翔:  「もうすぐチャイムなるから行こうぜ。」 各々、自分の教室へと行き、席へと座った。翔は、隣の席の人と仲良くなろうと話しかけた。  翔:  「はじめまして、俺は月風翔。君は?」 翔がそう尋ねると、隣の席の男子生徒は読んでいた本を閉じて  生徒:  「ああ、君が実技1位の翔君か。はじめまして、俺は悠(ゆう)。夜岸悠(よるぎしゆう)だよ。よろしくね。」  翔:  「悠か、よろしく。俺のことも翔でいいよ。」 そうして挨拶を交わした翔と悠はその後、学校についての軽い説明と設備の説明を受けた後に解散だったため、一緒に帰ることにした。一緒に帰っている最中に後ろから向日葵が翔を呼びながら走ってきた。  向日葵:  「なんで先に帰るのよ、玄関で待っててって言ったでしょ。」  翔:  「あっごめん。忘れてた。」 翔をにらむ向日葵だったが、悠に気づくと不思議そうに悠を見つめた。  向日葵:  「翔、この人誰?」  翔:  「あーこいつは夜岸悠。俺のクラスメイト。」 悠の名前を聞くと向日葵は驚いた。  向日葵:  「夜岸悠って筆記試験ほぼ満点合格した人じゃん。はじめまして、朝比奈向日葵です。翔とは腐れ縁の仲よ。よろしくね。」  翔:  「よろしく。」 そんな挨拶を交わし、今日のところは解散した。 翌日ー- この日から授業や訓練が本格的に始まった。授業ではSRMG師団ができるに至った歴史や数学などの一般教養、戦術などを学ぶ。訓練では1年の間は体力づくりを中心に模擬戦や射撃訓練などを行う。2年に上がると実際に現場へ行き、団員の戦闘を間近で観察でき訓練のアドバイスももらえる。 今日の実技を終え、着替えているところで翔が悠にある質問をした。  翔:  「なぁ悠、第1師団長ってどんな人なんだろな。」 前代1師団長は5年前に魔物との戦闘中に命を落として以降、新たな師団長が発表されていないのだ。  悠:  「さぁ?どうだろうな。いろんな噂があって、どれが本当かわからないもんな。」  翔:  「だよな。弓使いって噂もあれば、刀使いって噂もあるしな。俺が先輩に直接聞いたのは大きな鉄塊使いっていう噂は聞いたな。」  悠:  「まぁ、公表してないってことは何か理由があるんだろう。早く着替えて帰ろうぜ。」  翔:  「そうだな、今日は一通り訓練したから疲れたよ。」  悠:  「何言ってんだ、模擬戦全勝のくせに」 軽口をたたきあいながらも着替え終わり、帰ろうとすると警報が鳴り響いた。  『黒い霧発生!黒い霧発生!1,2年生は市民の避難誘導、3年は師団員のサポートをせよ!』  翔:  「まじかよ、悠行くぞ。」  悠:  「応。」 魔物は昼夜問わず出現してくる。しかし、出現するときは神出鬼没ではなく黒い霧が発生してから出てくる。だが、出てくる場所はランダムであるため町中に現れたらすぐに避難を開始させないと甚大な被害につながってしまう。 現地に到着した翔達1年と2年は直ちに避難誘導を開始した。  翔:  「悠、今回は何型だろうな?」  悠:  「動員している団員の数から、また獣型だろうな。」 人間界に出てくる魔物は確認されている限り、4種類いる。 主に群れで現れ、数の力で攻撃してくる獣型・知性を持ち武器や獣型を使役して攻めてくる人型・獣型の力を人型の知性を併せ持った人獣型・獣の力が何種類も併せ持っているキメラ型がいる。 人獣型やキメラ型は戦闘員では倒せないほどの強さを持っている。  悠:  「とりあえず、避難を終わらせよう。ここまでこないとは限らないからな。」  翔:  「そうだな。」 翔・悠を含む1.2年生は避難誘導を進めていった。だが、避難完了目以前に路地裏からハイエナの形をした魔物が現れ、遠吠え始めた。  悠:  「まずい、翔、先輩方急がないと他にも魔物が来ます。」  2年生:  「まじか、避難先へ急いでください。魔物が来ます。」 しかし、ハイエナ型の魔物はすでに四方八方を囲んでおり、じわじわと距離を詰めていった。1.2年生の間は訓練以外で武器を持つことを許されておらず、反撃する手段を持ち合わせていない。ハイエナ型の魔物は一斉に襲い掛かってきた。
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