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「…思ってさ、じゃないわよ。あの見た目に騙されて、一夜の過ちでほだされたんじゃないでしょうねえ??」
マキちゃんは苦虫を嚙み潰したような顔をして、慣れた手つきで志田卯月を抱っこしながら牛乳を飲ませている。
容赦なく私を罵る美人養護教諭のマキちゃんこと真木鈴華は、私の高校時代からの親友で、何でも話せる貴重な同僚職員にして、3歳の双子を持つワーキングマザーなので、洗いざらい白状して協力を仰いでいるところだ。
「ないよ、ないない。だって穂月は、…」
私が穂月を覚えていないと知って、手を出さないと誓ってくれた。
『なえが望んだらまた抱いてやる。だから早く俺を好きになれ』
いやなんか、微妙にニュアンスは違うかもしれないけど。
だからまあ、昨日は平和に三人で川の字に寝て、卯月のおねしょで起こされて、
「ははうえ、ちりがつめたくござる」
「卯月、小便は厠でするよう教えたであろう」
「…かたぢけない」
幼児のお世話なんて皆目見当もつかない私はこうしてマキちゃんに泣きついたというわけで。
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