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「行きがかり上、手を貸すのはまあ百歩譲って好きにすればいいけど、…」
私の内心などお見通しのマキちゃんは、牛乳を飲み終わった卯月の背中を優しく撫でながら、
「何があっても絶対あの子を好きになっちゃダメよ。何をどう考えてもあんたたちに未来はないからね!!」
くっきりはっきり、ぐっさりと釘を刺した。
「な、…ないないない」
あはは、と薄っぺらい笑顔を張り付けて片手を振る私は、自分でも胡散臭いと思う。
穂月を好きとか、…
彼は頭がおかしいし得体がしれないし。
激しく年下だし高校生だし子連れだし。
ないないない、どう考えてもない。
大体私はもういい大人で、立場も世間体もあるし、結婚とかも考えているわけで。真面目なだけが取り柄だし。そんないい年して運命の恋とか、奇跡の恋とか、夢みたいなこと思ってないし。
ないないない、あるわけない。
穂月を好きとか、…
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