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「うわ、レズってる」
いつの間にか保健室にやってきた女子生徒の坂下沙里が、抱き合っている私たちを見て、心底嫌そうな顔をした。
「マキちゃん、お腹痛い。寝かして」
「またかよ、沙里。あんた生理重いんだからさ、そんな短いスカートで生足出してないで、中にきっちり短パン履いとけ?」
マキちゃんは卯月を私に渡すと、勝手知ったる様子でベッドに向かう坂下さんに手を貸している。
「薬飲んだ?」
「持ってない」
「だから、持ち歩けって言ってるじゃん」
「だって急になったんだもん」
「…たくもう」
ぶつぶつ言いながら薬と水を渡すマキちゃんは頼れる教師そのもので、女の私から見ても惚れてしまう。
「あ、…なえちゃんセンセーのちょっと信じられないくらいカッコイイ隠し子、全校女生徒のハートを鷲づかみにしてるけど、早くしないと食われちゃうかもよ?」
ベッドに入った坂下さんが仕切りカーテンを閉める直前、なんか恐ろしいことを言い捨てた。
えええ―――、…
隠し子じゃないけどな。
という突っ込みは、ひとまず置いといて。
いやでも親子に見えるのか。そうか親子か。という衝撃も置いといて。
穂月はまあ、あの見た目だから注目はされるだろうけど、言動が時代がかってるし、現代高校生の授業内容についていけるか謎だし、教室では浮きまくるんじゃないかと思っていたけど。
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