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iiyori.01
「なえ、待たせたな。祝言を上げるぞ」
…誰っ!?
花冷えの4月。
仕事から疲れ果てて帰ってきた一人暮らしの家の前に、侍みたいな恰好をした男の人が座って待っていて、帰ってきた私を認めるや否や、立ち上って強引に抱きしめ、
…キスされた。
「……―――――っ!?」
思考停止。
何が何だか分からない。
出会い頭にイケメンがキスするのは想像の産物だから許される話で、現実世界でこんなことがあってたまるか!?
「ははうえっ、うづきもっ」
ショックと混乱で放心している私にさらになんか丸っこくて柔らかいものが飛びついてきて、よだれでベタベタな手と口を頬にこすりつけられた。
だから、誰!? てか、何!?
誰か事情を説明してっ!!
夢なら早く、私をたたき起こして――――っ
「…感激のあまり放心するとは」
ショックで力が抜け卒倒しそうになったた私を侍男が抱き止め、
「ういやつ」
なんでかもう一度口づけた。
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