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まずい、ホントに修羅場になってきた。つか黙って聞いてりゃ、って黄崎も十分うるさいし。あと黒井も怖すぎるわ。こんな煽るやつだっけ?どうしよう、何とかしなきゃ.......。でも黄崎に黙れって言われてるし.......。黒井は可愛くて優しいやつなんだよ。黄崎は普段はあんなんだけど、実際はいいやつなんだよ。そう言いたかったけど2人に殺されそうなので止めといた。
言葉に迷っていると、黄崎がふん、と言い俺に近づいてきた。
「アホらしくなったから帰るわ」
どんどん近づく俺と黄崎。端正な顔立ちが目の前に来る。鼻と鼻がぶつかる寸前で、黄崎は甘く囁いた。
「明日も来るからな。覚悟しとけよ、赤坂」
言い終わると顔を離し、黄崎は自席へ戻っていった。何だったんだ、あれは.......。てか今日もノートを取られたし。明日も借りるのかよ、全然懲りてねぇな。呆然としていると、黒井に声をかけられた。
「赤坂、ごめんね。騒がしくしちゃって」
黒井はいつもの柔らかな笑顔で見つめている。さっきまでの妖しい顔は嘘だったみたいに。
「い、いや.......。それより黒井のあんな姿初めてだったよ。前から黄崎と喧嘩してるのか?」
「ううん。今日が初めての会話だったよ」
「マジで!?!?」
人と話すの苦手って言ってたけど、バリバリ話してたどころか喧嘩してたじゃねぇかよ!黒井は何者なんだ!?
「あっ、あのねっ!別に黄崎くんのことが嫌いとかそういうことじゃないんだ。ただ、もし赤坂が嫌がってるのなら.......僕が止めなきゃって思って.......」
嫌じゃなかったならごめんね、と黒井は水晶のような目で俺に言った。俺としては、借りに来る度に頭叩かれるし訳わからんこと言われるしうっせーなとは思っていたが、嫌でたまらないということはない。宿題写して間違ってても自己責任だしな。
どうやら黒井はそこを気にしていたらしい。そのために黄崎と初会話するなんて.......。いや、会話っつーか喧嘩だよな。
黄崎はツンツンして口も悪いけど、ホントは可愛い面もあるやつなんだよ。でもそれは黒井にはあえて黙っていた。もしかしたら、俺には言えない黄崎との確執があるのかもしれない。そこには触れない方がいいだろう。
俺は黒井の頭にぽんと手を置いた。
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