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「あの、さ……黒井はこの辺に住んでるのか?」
「うん。赤坂はここから少し離れてるんだよね?」
「ああ。電車で30分くらいかかるかな」
そう答えると、再びしんとした空気に包まれた。ちらりと横を伺うと、黒井は前を真っ直ぐ見ていた。長いまつ毛はまるで人形のようで、滑らかな白い肌は一際目立っている。こんな状況、男の俺でもドキドキするじゃんかよ……。
それから俺達は、何も言わずただひたすら帰路についていた。途中で雨が止んでいたにも関わらず、どちらもそのことには触れず、傘を差したままくすぐったい距離を保っていた。
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