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「黒井様は恐れ多くて近づけない、高貴なお方なのよ!どうしてあなたに接近してるの!?」
「知るかよそんなこと!!」
んなことで呼び出すなよ!てか黒井様って、黒井は王子様か。どんだけ地位高いんだよ。全員鼻息が荒くなっている。
「黒井と話したいのか?」
俺は問うてみる。たぶんこいつらは、黒井のファンなんだと思う。あんだけ儚くてミステリアスで美しいのだから、女子の人気もめちゃくちゃあるだろう。
女子達は図星だったのか、急に声を小さくさせた。
「話したい……っていうか、謎めいた方だから、一体裏にどんな表情や想いを秘めているのだろうって思って……」
「遠くから眺めるだけでも十分お美しいのに、急に新たなお姿を解放していたから……」
いやいや、いつから黒井は帝みたいなポジションになったんだよ。めちゃくちゃ人気あるんだな、黒井って。確かに綺麗で線が細くて不思議な雰囲気があるから、女ならキャーキャー言ってもおかしくないか。
「俺も何でこうなったか知りたいよ。俺、特別なことしてないし」
それが本音だ。黒井の中で何が起こったのか。黒井は何か狙いがある?俺の隙を狙って殺そうとでもしてるのか……?
結局なぜ黒井が話しかけてくるのかは謎のままだった。
翌日。ホームルームが終わり休み時間になった途端、彼はやって来た。
「赤坂っ!おはよう!」
「うわっ!お、おはよう……」
ちょうど昨日話題になった男・黒井だ。絶対俺顔引きつってる……。そんなこと気にもしてないかのように、黒井は眩しい笑顔を見せている。
でも、「何で俺に話しかけるの?」とか言えないじゃん。別に話しかけられて嫌な訳じゃない。むしろ嬉しい。こんな楽しそうに来られると嫌な気もしないし。
とりあえず深く考えずに付き合おう。そう思っていたところに、昨日のあの3人組がまた登場した。
「おはよう!」
「え゛っ!?お、おはよう……?」
昨日とは違いすげぇ笑顔で挨拶をしてきた3人。いや昨日は挨拶もされてないけど。何この違い。つか何で来たんだよ!?恐れ多いんじゃないのか?とか色々考えていると、リーダーがいきなり黒井に質問した。
「あっ、あのっ!最近これとよく話すのをお見かけするのですが……何かあったのでしょうか……?」
「これって何だよ!?」
これ呼ばわりされる俺。しかも黒井に対しては敬語。酷くないか?
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