⑥転生したら皇女様でした〜推しがピンチなので婚約破棄してから国に持って帰ります〜

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「なっ……!俺と結婚出来ないからとそのような嫌がらせを」 「リリアーナ様、酷いですぅ!」 「しっ、仕方ない!貴様との婚約を破棄する事だけはやめておいてやろう!分かってくれ、チェリー。これは国を守る為なんだ」 「ナシール殿下ぁ……でも私」 「勿論、本当に愛しているのは君だけだ」 目の前で突如として始まった寸劇に、ブチリと何かが切れる音がした。 「リリアーナ、仕方なッーー……ブハッ!!」 ナシールの体が僅かに宙に浮く。 拳が唸り、天高く伸びた。 ドサリという大きな音と共に、ナシールの体が地面に落ちた。 それと同時にチェリーもその場にへたり込む。 周囲が静まり返る中、後ろからパチパチと拍手が聞こえる。 勿論、国から連れて来た侍女と騎士達である。 侍女から受け取ったハンカチで手を拭った。 「随分と煩い口ですこと……不愉快だわ」 「………」 「さぁ、デクラン様……行きましょう?」 そう言って再び手を伸ばす。 推しへの下心が止まらない。 「は、はひぃっ!!」 自分も殴られると思ったのか、デクランは急いで手を握る。 (はっ……!!デクラン様の体温を感じるッ) 有り難みを噛み締めながら、学園を後にした。 *
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