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ーーーノエリアとホールデンがまだ出会って間もない頃の記憶
ノエリアは病弱ではあったが、明るく笑顔を絶やさない女の子だった。
冷め切った父と母の関係を見て育ったノエリアは2人が喜ぶように、少しでも仲良くなれるように必死だった。
なかなか外に出ることが出来なかったノエリアは、いつも部屋の中から外を見ていた。
すぐに高熱を出してしまうノエリアは、万が一があったらいけないと屋敷では勝手に出歩くのを禁止されていた。
体調が安定したのを見計らって馬車で出掛ける事になった。
ノエリアの心は弾んでいた。
父と母に連れられたのは王城であった。
例えそれがノエリアの為でなく、顔合わせが目的だったとしても当時のノエリアにとって初めて両親と出かけられる事が、とても嬉しかったのだ。
話があるから待っていなさいと言われたノエリアは、大人しく花が咲き乱れている庭で花飾りを作って遊んでいた。
そんな時、モスグリーンの髪をした小さな少年がノエリアに声を掛けたのだ。
何も知らないノエリアは、幼いホールデンの手を取り一緒に遊んだ。
ホールデンは幼い頃から人見知りで、ずっと外に出ることなく部屋で過ごしていた。
今の姿からは想像ができないが、人が来るとノエリアの後ろに隠れてしまう程に内気だった。
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