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「デクラン様……」
「……?」
「わたくしと………一緒に皇国へと行きましょう?」
「………え!?」
その言葉に、さすがに周囲の人達も戸惑いを隠せない。
「つ、つまりナシール殿下と婚約破棄して、デクランと……?」
「わたくしはデクラン様に聞いているのです。部外者はお黙りになって下さいませ」
「……っ、申し訳ありません」
「ああ、好きにしろ……!チェリーのストーカーが居なくなって清々する」
「………殿下ッ!!」
「それに邪魔者も消えたしな!今日は最高の日だ」
「ですねぇ」
タイミングよく侍女が戻ってくるのを見て、笑みを深めた。
侍女から書類を受け取る。
学園に万が一にと預けられた書類。
今頃、早馬が出されて国王達の元にも伝わるのだろうが、その時にはもう完全に手遅れだろう。
「今、この瞬間から……貴方とわたくしの婚約は破棄されました。それから、この国の食糧支援も打ち切りですわ」
「……!!」
パチンと扇を畳んで淡々と言い放つ。
ペタリと膝を突き絶望する人々を見て、流石のナシールもその言葉を聞いて焦りを滲ませる。
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