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あの後、すぐにベルベット帝国へと帰った。
レブーロン王国の国民は食糧支援を失ったきっかけを作ったナシールとチェリーを許せなかったのだろう。
二人がどうなったのか……容易に想像出来る。
ーー数年後
レブーロン王国はベルベット帝国の庇護下に置かれた。
実質的には全ての権限をベルベット帝国が握っている。
そしてリリアーナを溺愛する皇帝から土地が充てがわれた。
それが元レブーロン王国である。
もう娘を他所に出したくないとの気持ちからか、あっさりとデクランとの関係を認めてくれた。
デクランは最初こそ遠慮気味ではあったが、今では任された土地をきっちりと管理している。
デクランを蔑ろにしていた元家族達は擦り寄ってきたが、直ぐに排除した。
そして今日も推しを眺めながら幸せな日々を送っている。
「そんなに見ないでよ、リリアーナ」
「えへへ」
「また"僕の顔が好き"って言うんでしょう?」
「そうよ!!」
「リリアーナの方がずっとずっと綺麗なのに……」
「ふふっ、知ってるわ」
身近に推しがいる幸せを噛み締めながら笑顔で過ごしている。
デクランと過ごす時間はかけがえのないものだ。
こうして夢が叶った事が未だに信じられない。
(……幸せ過ぎて怖い)
デクランは色々な一面を見せてくれるので退屈せずに済みそうだ。
「どうしてニヤニヤしているの?」
「幸せだなって」
「……リリアーナ、僕も幸せだよ」
「~~~っ、神!!」
「……?」
end
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