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「今更、反抗する気か?それに俺の気持ちがレイチェルにあると気付いて醜い嫉妬までするなど‥」
「‥‥」
ノエリアは静かに首を振った。
ノエリアは一度たりともレイチェルとホールデンとの関係を嫉妬した事などない。
(‥‥どうでもいい、何もかも全て捨ててしまったわ)
それに虐げているとは寝耳に水。
レイチェルとノエリアは屋敷で口を聞く事もない。
ノエリアはラランド公爵家で1人で過ごしている。
一緒に住んでいるハイメならば、少し考えればわかる事だろうに。
レイチェルの言う事を全て鵜呑みにしている今のハイメには何を言っても無駄だろう。
(顔を合わさない相手をどうやって虐げるというの‥?)
幼い頃からノエリアに求められたのは『完璧』それだけだ。
それは外だけではなく屋敷の中でも同様だった。
ノエリアは王妃になるのなら「どんな理不尽も笑いながら我慢しなさい」と言われていたからだ。
染み付いた癖のように、ノエリアは笑いながら全てを我慢していた。
涙を流す方法など忘れてしまうくらい、ノエリアの心は渇いていた。
「お前との婚約は破棄させてもらう」
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