景色

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景色

失われた影に歩いて行く 散らばって見えなくなる いつかの景色も消えて果てて ただ沈黙の静寂が続く 終わったから、夢の跡に死骸が散らばる なぜ、連鎖していくのか 分子は奇妙に回る いつかの閃光に引きはがされた跡が 細胞に傷を残している 訪れた輪郭に、誰かの声が聞こえる その声は言っていたから 全ては形作られた 記憶の中を巡る いつかの思いが持続する 山の中を木霊する 音に引き寄せられて 歩いてきたのは不穏な 導きに似て それすらも奪っていくから 大地は静まり返って 誰のことも見えなくなっていた もう、探すのをやめて 鳥たちの響きに連なる 旋律に化けたなら ただ闇の中に広がる時間が 苛まれた面影に また伸びていく それがどこかもわからないまま もう戻れない空虚さを帯びて 針のように進んでいく 失われた景色がただ鳴り続ける
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