視線

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視線

あの日、見ていた月の中に消えていく 影が持続していたので、暗がりを見れば たくさんの目玉が繋がって動いている それが何かわからないのは同じではないかと 今でもノートに書き綴る 果てはわからないままに ただ時間だけが過ぎていって 遠い思い出が霧散していく いつもの感覚が誰だったのかわからないままに 答え合わせの時間が通り過ぎていくのを ただ見ていたのも奇妙だった 空には星が浮かび あの時の思い出が散らばる でも、それが何だったのか、今でもわからずに ただ時計が回り続ける それを思い起こせば 揺れていく地面に咲いた花が 静かに増殖していくので 未だに苛まれているのを 緩和していけばいいと 朧げな観測の中に 逃げ道を探していた 結局、雲は消えていった 今でも残っているのは 部屋にある匂いだったから ただ流れていく中に どこかを探しているのも またふやけて元通りになる 微かな記憶が続いていた アスファルトの地面を通り過ぎていく 閃光をただ眺めながら
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