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アスファルトの地面がただ続いている なんとなく鼻歌を歌った 今日は誕生日で 昔の友達と会ってきた 携帯電話にはあの人の着信履歴がある ただ過ぎていく時間の中で 様々な出会いがある ふいに涙が滲む なんだか全てが終わるような気がした そうしたらいったいどうなるのだろう 夢の中で見た幻想風景 あの日は疲れていたから 誰の声も届かなかった なんとなく思ったことは ただ夜の闇の中に紛れていく 春の冷たい風に吹かれて まだ続いていくのだと思う アパートの鉄の階段を静かに上る 部屋の鍵を開けて中に入る いつか見た小さい頃の海の景色が 一瞬、脳裏に蘇る あの時見たのは誰だったのか 今ではもうわからなかった 淡い感情に包まれた日々は もう二度とやってこないのかもしれない それでも何かを探していた時には 願っていたことがあった 奇妙な夢を見ていた時も ただ過ぎていくことを望んでいた 形がわからなくなったものが 透明になっていく気がした
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