カフェ

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カフェの中の音楽に 記憶が蘇って 無くしていた思いが持続している ビニールハウスの畑の中は どうなっているのか知ることはない ただ過ぎていく時間に 夢の中の思い出が浮かぶ 扉を叩き続けたから 鍵は結局なかった 何かを求めている日々が 滲んでいく薄い色になって 夕日が赤く照らしていた カフェには多くの人がいるが それは誰もいないのと同じで ただ脳内の無意識がそれを決めることはなく 未だに繰り返している それが何かわからずに ただコーヒーの苦みに言葉を忘れて ノートに書き綴る無意味なことは いつか終わってほしいと願う 小さな自分だった 壊れていく世界の中で 今日は最後の日だったから 少し早めに席を立つ 失われていく空間が ただそこにあったので 透明になると同時に消失していった あれは誰だったか 思い出したのは どこかにいる名前の知らない人だった 奇妙だと思う
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