八月

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八月

あの日に抱えていた影が 全て散らばって破片になった 落ち込んだ空間には 今も水の音が響く 地下室からやってきた 声は辺りに響き渡る それが誰だったのか 思い出すこともできない 八月がやってきて 扉を叩く時 思い出すのは 冬の星座だった いつかの静寂が訪れて 悲しく照らし出すのは 薄い光だった 歩き出したのは 無限に続く歳月で 夜の中に木霊しては消えていく 無くした思いは 無限の時間の中で ただ透明になっていく 結局、今でも思い出せるのは 跡形もない 土地があるばかりだ 踊る万華鏡の 音符の旋律に 戸惑う、初めての想像が おびき寄せる 全てを霧散させて 闇の中へと続く いつか見た時は あの日々に紛れて
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