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───『終焉』の拳が、憎悪を輝かせて振りかぶる。
───対するユラシルは飛び上がり右足を振りかぶった。
───ユラシルは両腕が使い物にならない、だから足技で来るとわかっていた『終焉』は正確にユラシルの顔面に狙いを定める。だがリーチの差は明白だ、どれだけ腕を伸ばしても足技では先に届きはしない。
───破格の力を宿した拳が放たれる。リーチの差はあれど小回りと速度は腕が勝り、そして『終焉』の拳にはユラシルの足を粉砕し、弾き飛ばした上でユラシルを仕留められる確かな自信があった。
───パンチと蹴りの衝突。全てを乗せ、全てをかけてぶつかる最後の一撃同士。
「っ」
───のはずなのに。衝突する直後、不可解な加速によりユラシルが『終焉』の懐に潜り込んだ。空中から、『ワールド』の気配を一切感じさせていないにも関わらず足元を砕き割る勢いで。
───左上半身が触れるか触れないかの位置で停止。空を切った右腕を振り抜いて息を飲む『終焉』。
【流倒遊回】
───繰り出されしは、たった一度だけ見た奥義。
【漆般若】
ギュバァアアンンッッ!!!!と。
左肩から急激な加速でぶつかり、インパクトと同時に赤黒い閃光が爆発した。
「ッッガバッ……!!!!」
『終焉』の憎しみを、意地を、執念を粉砕する一撃が炸裂。これまでにない強烈な力が、ユラシルだけが知っている技術が………ついに最強の男を地に沈めた。
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