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〈ユラシルが決めたんなら僕はいいよ~、ちぇ~〉
拗ねているのを隠さないスカイリベルは一旦置いておき、ユラシルは正面の二人を見る。二人とも絶句し言葉を失っている様子だ。二人がユラシルの知っている二人ではないのならそれも当然の反応だろう。
「見とれてていいのかお前ら」
「「ッッ…!!」」
「気合い入れたんなら遠慮はしねえぜ。我流剣技、八ノ刃───【破月】ッ!!!」
横薙ぎの刃から吐き出された美しい緑の三日月は反応が遅れた二人を揃って捉え吹き飛ばした。
防御は間に合っている、だからユラシルは動く。
なんとか力任せに三日月を上に押し退けたタイミングを狙い打ち、ユラシルはミラの腹に蹴りを叩き込ませる。さらに飛ばされたミラを目で追ったシービスだが、視界に剣を構えて割り込むユラシル。
「ッッ!!?」
振り下ろしにギリギリ間に合い長剣が受け止めた。眼前で接触する刃同士から火花が散り、凄まじい力にシービスが歯を食い縛って堪えながら。
「お前ッッ……こんな意味不明な力まで手に入れてやがったのかよッ…!!」
「意味不明、ね。初見じゃそう感じても仕方ねえわな」
背後から戻ってきたミラが金色の光を纏った右拳を振りかぶって接近。それを気配だけで把握し寸前で上に跳ねて回避しつつ、
「四ノ刃───【雨突】!!」
高速連続の突き技で二人を落下させる。防御されたのは別にいい、あくまでも距離を取るための牽制にすぎないから。
「ンのォッッ!!」
「フゥウウッッ!!」
揃って浮上してくる二人をかわしながら雲の高さまで行き、そこからユラシルも攻めに転じる。エマリエーカ王国の遥か上空で三つの光が入り乱れて衝突を繰り返し、三人にとって有効と判断出来る隙間が出来た直後に力を迸らせる。
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