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「…………俺たちが同じユラシル・リーバックでありながらここまで考え方も生き方も違ってんだから、その師匠の影響は凄まじいモンだな」
「ああ、スゲー師匠だった。俺が一番尊敬した人だ、お前もきっと師匠と出会えていれば、そんな風にはならなかっただろうな」
「………今さらだろ、そんなこと」
「まぁな」
「………最後に使ってた感情乗っけた不可解な技、あれは師匠の技か?」
「ああ」
「そうか……変わっただろうなぁ、こんな清々しい一発を打てる師匠がいたら」
『終焉』もユラシルも空を見上げる。この静けさが最強同士の戦いに決着がついたことを証明してくれていた。
「不完全燃焼と思ったけど、意外とすっきりしてる」
「あん?」
「俺たちの戦いの決着はド派手な力比べになると思ってたんだ、だから、お前の足技が来ると見越して拳を振るった」
「ああ、俺たちならそうなるはずだったな。でも、だからこそそうしなかった」
「……やっぱり、読み負けてたんだなぁ」
「お前がどこまでもユラシル・リーバックならそうする、その気でいる……そう読んで力比べをしなかった。現状俺にはお前の一撃と拮抗出来る一撃が無かったからな。最後のは技として成立させる条件が限定されてるからああするしかなかった」
「あの緊迫した中でも冷静さを保っていたのか。こりゃあ勝てねえわけだ……」
軋む肺で息を吸い込み、深くゆっくりと吐き出してから『終焉』は言う。
「俺の負けだ。後は好きにしてくれ」
「俺が?バカ言うな、俺がお前をどうこうする気なんざ微塵も無えっつの」
「……じゃあ、お前はなんのために戦ったんだ?俺が犯した罪を償わせるためじゃないなら、なんで?」
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