90人が本棚に入れています
本棚に追加
「せっかく救った世界をメチャクチャにしようとしてるバカをブッ潰すため。この世界に生きる俺がどれだけ強いかを確めるため。そのどっちも果たせたから俺の目的は終わりで、後はお前ら次第だ」
「そっか……色々と迷惑かけて悪かったな」
「謝る相手は俺じゃねえよタコスケ」
ユラシルが肩越しから目を向けると、戦いが終わったのを見て駆けてくる二人の親友たち。その後方から知っている顔の二人が見えて、ユラシルは呻きながら立ち上がる。
「……なんだ?まだその技解除してなかったのか」
「お前に潰された両腕の止血のためだ。最後の技で集中力使いすぎて維持もキツいが、解除したらもう止血出来ねえからな。あとは万が一お前がまだやろうとした時のため」
「動けねえって言ったろ」
「ハハ、そうだったな。まっ、後のことはお前の親友たちに任せるだけだ、戦いも終わったし、俺は俺の仲間を連れて適当に…………ん?」
ふと目を向けると、駆け寄ってきていた計四人が立ち止まっていた。立ち上がったユラシルを警戒してのことかとも思ったが、すぐに違うことに気づく。
ユラシルを見ていない。
四人ともだ。
「あ?」
なら、なんだ?
あいつらはみんな、何を見ている?
ザッ、と足音が聞こえた。
ユラシルが顔を向けた先は、四人が見つめている先と同じだった。
広げた両翼を覆う虹色に煌めく羽毛。
頭髪も同じく虹色で、人間に似ていながら全く次元の違う怪物。
「ふむ」
史上最悪の生命体が、堂々と、優雅に、美しく、不気味に微笑みながら出現した───。
◆
最初のコメントを投稿しよう!