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「急げ貴様ら!!もっと速度を上げろ!!」
「ちょちょっ!?なんでござるか急に!」
「セインさん待ってください!!どうしたんすか!?もしかして、ユラシルさんたちに何かあったんすか!?」
「何かあったんじゃない───確実にこれから起きるんだッ…!!」
◆
───その生物は、根本的に『生物』としての質が違いすぎる。
ユラシル・リーバックは人類史上初めて世界中の地を開拓した歴史的にも偉大な『開拓者』であり、当然、彼は誰よりも世界に生きる生物を観測している。彼以上に生物の種類を知っている人間はいない。
ユラシルが旅路の最中で自然と培ったのは生物を一目見て本質を見抜く目と直感。それにより生物の気性や危険性を瞬時に看破し危機を脱したこともある。
誰よりも生物の本質を見抜けるユラシルが今、そいつから感じたのは極めてシンプルな印象。
『生物としての次元が違う。』
「ふむ、ふむふむ」
そいつはこの場を眺め、顎に手を添えながら何かを考えている様子だった。
人間ではない何かだ。
でも、人の言葉を話す得体の知れない生物ではない。
「『エンドレスバード』」
ユラシルが言った。
「光の反射によって煌めく羽毛は角度が変わるだけで別の色に見えることから虹色の翼を持つと言われる幻獣種。極めつけはその生態で、死の概念を持たず限界を悟ると自身を灰にしてその灰から復活する世界に一匹しか存在しない不死の鳥、それがお前の正体だな」
「ほう?吾輩のことを知っているんだな」
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