第9話 終わりの始まりをここから

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「伝説だからなお前の存在は。遥か昔の書物に詳しく書き記されてたし、その特徴が狂いなくドンピシャだったからわかったんだ。………ついでに、伝説の鳥がなんでそんな気色悪い姿になってるのかも当ててやろうか?」 険しい顔つきで怪物を睨み付けるユラシル。 彼は、『終焉』にも初めて見せる顔をしながらこう続けた。 「───『終局』に干渉されたんだろ」 飛び出したその名に、ユラシル以外の全員が目を見開き息を飲んだ。 怪物すらも、驚愕を隠せなかった。 「何故、そのことを…?」 「そうなってる連中をこの目で見たんでな。引っかかってたんだ、なんであいつらは『八類王』を名乗っていながら一匹足りないことに疑問を思わなかったのかって……あいつらは勝手に解釈しちまったんだろうな、現人類から代表した人間一人を加えて『八類王』が成立するって。でも違ったんだ、本当はちゃんと八匹いたんだ、そのことになんで気づかなかったのかは知らねえがな」 「そうか、奴らと会ったのか。…ふむ、奴らが気づかなかった理由なら吾輩がわかるぞ」 「何…?」 「吾輩は『終局』が作った最初の『八類王』なのだよ。だが『終局』は吾輩を失敗作と言い封印した。失敗した理由は単純に吾輩が『終局』の思想を一切受け継がず制御出来なかったからだ」 「…『八類王』は『終局』の代行者みたいなモンらしいからな、あいつらの目的も人類の破滅だった。けどお前にはその意思が宿らなかった、だから封印された………その封印が解かれたのは、俺たちが『終局』を殺したからか」 「感謝しているよ。これで吾輩を阻む輩はこの世界に存在しない、吾輩の思うがままにやれるからな」 ユラシルの目付きがさらに険しさを増す。怪物はそんな様子に笑みを浮かべるだけだった。 会話に入れずにいた『終焉』は倒れたままなんとか顔を上げる。得体の知れない怪物を初めて目にし、恐ろしい気配に不釣り合いな美しい姿に息を飲む。
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