第9話 終わりの始まりをここから

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「まだ揃いきってはいないが、まぁ、じっくり待っていればそのうちここにやって来───ッ」 眼前にまで迫ってようやく気づいた左足。 顔面に接触した刹那に溢れ出すは───"漆黒の閃光"。 【流倒遊回・黒閻魔(こくえんま)】 純度百パーセントの殺意でもって成立する禁忌の一撃が、激烈な威力を撒き散らして怪物に炸裂。淡い水色の鮮血を噴射しながら怪物は遥か彼方まで蹴り飛ばされた。 殺意を用いたこの一撃は、破格の破壊力を発する代償として使用した部位が砕ける諸刃の剣。よってユラシルの左足は膝から先が潰れ原形を留めていない肉塊と化した。 そんなこと、どうだってよかった。 「スカイリベル」 名を呼び【流倒遊回】を解除。呼ばれた相棒は独りでに飛び上がり、主の元へ駆け付ける。 柄を口でキャッチした瞬間、ユラシルから莫大な力が吹き荒れた。『絶廻・スカイリベル』の能力の一つである『ワールド』の貯蓄・供給によって底を尽きかけていた力が注ぎ込まれ忽ちユラシルは全快すると同時に【極致開闢】を発動。 破損した両腕と左足が瞬く間に修復する……だけで終わるはずがなく、さらにそこから、 「ガァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」 逆立つ髪が、ギラつく瞳が───美しい青色に染め上がった。全身から吹き上がる光も白から緑、そして青へと変色する。 スカイリベルが『絶廻』に進化し、性能をユラシルが百パーセントに活かすことで形成できる新たな領域。 「───【極致開城(きょくちかいじょう)】ッッ…!!!」 『終焉』との戦いではアストバレスタを封じるためにスカイリベルを使用したことで使う機会を失った力。【極致開進】にスカイリベルの力を掛け合わせて到った強化形態。
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