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「『終局』を知ってるか?」
ユラシルの言葉に二人は眉を寄せる。
「……大昔に実在したっつう世界の破壊者だろ」
「そんな昔話を持ち出してどうするっていうのかしら?」
「いや……ただの確認だから気にすんな」
俯いてしまうユラシルにシービスとミラは横目で視線を合わせたがそれも一瞬。
(歴史はしっかり繋がってるわけか……だとしたら、あの時一緒に戦ってくれたあいつらと今ここにいる二人は完全な別人。上書きされてるかもなんて淡い希望は無かったか)
「下手なことはすんなよユラシル。ここは地下深くの牢獄で『ワールド』は薄いし、その『ワールド』も俺たちが吸収してる。お前が吸収する分は無えぜ」
「まぁ吸収しようとしたら私たちがあんたの息の根を止めるから、くれぐれもバカなことはしないようにね」
「はいはい…。なぁ、俺はなんの罪で死刑になるんだ?お前らが息の根を止めていいっつー許可を貰ってるってことはそれなりの罪なんだろ?」
「………何を寝ぼけたこと言ってんだ…?お、お前がっ……お前がやったことがどれだけのことかわからねえとかほざく気かよッ!?」
表情を一変させたシービスを見たユラシルの目が細まる。
「あんたがやったことは最悪の罪よ。それに"加担した者たち"も同罪。世界をこんな風に変えたあんたは絶対に許されはしないわ」
「───、そうかい。で?あいつらも捕まったのか?」
「捜索中。だけどあんたが捕まった以上時間の問題だわ」
「なるほどなるほど……"そういう形か"」
「っ?どういう意味だよユラシル」
ユラシルは答えない。俯き目を閉じて気取られないよう集中する。
(聞こえるか、スカイリベル)
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