13人が本棚に入れています
本棚に追加
⑤
「じいちゃん、ヨットに乗るのやめちゃうの。僕、海についていろいろ教えてもらいたかったのに……ヨットは、やめないでよ」
「そうか、そう言ってくれるのはアキ坊だけじゃな。でもな、じいちゃんは、みんなに迷惑をかけてしもうた。けじめをつけなきゃならん。じいちゃんの航海はこれで終わりじゃ…………。
で、じゃ……。そのー、じいちゃん1人だけで行く航海は、今回で終わりじゃ。これからは……」
じいちゃんは、僕のあたまをなでた。
「え? 何? 何?」
「じいちゃんとアキ坊の航海の始まりじゃ! これからは、じいちゃんは1人ではヨットに乗らん。アキ坊と乗るんじゃ。これからはアキ坊の航海じゃ!」
「ええ! 僕、じいちゃんとヨットに乗っていいの?」
「そうじゃ。2人で乗る。そのかわり、じいちゃんに何かあったら助けてくれや」
「わかった! 父さん、母さん、いいよね?」
なんか、心配そうな2人だったけど
「おう、アキ坊も海の男になってこい!」
「そうね。じいちゃんに海や船のことをたくさん教えてもらって、じいちゃんを助けてあげてね」
僕が、じいちゃんとヨットに乗ることをゆるしてくれた!
「じいちゃん!」
「おう、アキ坊!」
じいちゃんは、窓から見える海を指さして言った。
「アキ坊とじいちゃんの航海の始まりじゃ! ゴーへー!(Go ahead!)」
Bon Voyage!
最初のコメントを投稿しよう!