花冷えの頃

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「最近さ、君に似てきたよね」 「うん、自分でもそう思う。生まれた時は、あなたにソックリだったのにね」  娘が生まれた時に買ったデジカメが最近バグを起こす。  私を写そうとすると、検索機能で娘の名前が表示されるらしい。  卒業式を前に私で試し撮りをした夫が爆笑していた。  夏の花火大会、夫に肩車をしてもらっている写真の娘は、小学校二年生くらいかもしれない。  この頃はちゃんと娘と私とを認識していたというのに。  懐かしさに目を細めながら、ふと思う。 「最後に抱っこしたのっていつだっけ?」 「ん~……、ふざけておんぶはあるけど、抱っこ? もう大分前だよね。二年生くらいか? 車で眠っちゃって、ベッドに運んだの。それが最後だったような?」 「パパでそれくらいなら、私はもっと前かも。一年生の頃? ううん、幼稚園の頃かもしれない。もう絶対に抱っこなんかできないね、重そう」  つい最近、私は娘に身長を抜かれてしまった。  顔は私に似てきても、高身長なのは夫に似たのだろう。  スリムであっても大きな娘を、最後に私が抱っこしたのって、いつだったろうか?
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