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発達障害と二次障害
親はアタシを愛してくれなかったしアタシの事なんか観てくれなかった。
アタシも親の事なんか観たくなかったし話もしたくなかった。
だって、自分の事なんか上手く話せないし分かってもらえないから····面倒くさかった。
近所では「あの子は変な子だから近づいちゃダメ」
親から神のお告げを受けた子ども達に除け者にされていた義務教育時代。
学校の教師にも目に余るアタシの孤立。
「スクールカウンセラーを受けませんか? 」
「先生が思ってる程、家の娘は異常じゃありません〜」
「お母さん、学校で何時も独りでいて、こっそり抜け出しているんです。私はそんな姿を目の当たりすると悲しいです」
「はい、はい〜家で叱っておきます〜私の貴重な時間を、こんなクダラナイ事に費やさせないで下さい。失礼します」
学校から帰宅する時、母は不機嫌に「あんたのクダラナイ事で学校に呼び出されたわよ! 最低! お父さんもお母さんも仕事が大事なの! アンタが美味しい物を食べたり出来るのは私達、親のお陰なのよ! 学校サボるな、行っても姿を消すな」
(なんで生きる事で、こんなに苦しまなくちゃいけないの)
家の外へ行き膝を抱えて蹲る。
見知らぬオジサンから声を掛けられる。
褒められる。
「泣かない君は良い子だね。また会ったら遊ぼうね」
触られる。
外を彷徨うのを覚えたアタシは知らない男からチヤホヤされて嬉しくなった。
アタシを知らない外の大人達がアタシが何をやっても優しくしてくれた。お陰で、学校に行って独りで居て誰とも話さなくても平気になった。
(アタシは強くなったんだ。誰もアタシに話しかけなくても構ってくれる人が居なくても大丈夫! )
家に帰って独りで居ると寂しさとか関係無しにカッターを手に取り手首をザクザクやって傷ができ血が出てくると生きている安堵感が溢れた。なんか嬉しかった。
どんどんリストカットが増えていく。
死にたいとか思わないけど、何が安心して幸せなのか分からない。
今まで来ていた生理がいつの間にか来なくなった。け
(保健体育で言っていた、これって妊娠? )
頭が真っ白になった。学校で過呼吸に陥って倒れて救急搬送された。
世間体優位の両親は面倒くさそうな顔で駆けつけた。
妊娠していること。リストカットしていること。悪行を指摘される両親。
精神科に入院を勧められアタシは先ず産婦人科で堕胎手術を受ける事になる。
「何処の誰だかと安易に体の関係なんて持って、恥ずかしい。アンタ何やってんの。まともになるまで入院して出てくるな」
親が決めた独居房で担当医と話をする入院生活が始まる。
「リストカットして痛かったんじゃない? 今も痛そうな傷口があるね。誰も気づいてくれなかったの?····お話は苦手かな? 何が好き? 何がやりたいのかな? 」
うるさい! うるさい! うるさい!!
偽善者!
「アタシがやりたい事なんか分かんない! チヤホヤされれば嬉しい。それだけ。親には死んで欲しい····殺しても良いですか」
検査のテストを受ける。嫌なんですけど。
白紙のまま時間が経って回収されていく。
「気持ちが落ち着かないんだよね····じゃ〜質問に答えて、頷くだけで良いから」
また担当医から質問される。
アタシは答えなかったが些細な反応を担当医の手の内のバインダーに何かを書き入れていた。
爪を噛じる。
カッターナイフなんて無く独居房に閉じ込められる。
何も考えたくない! 何で閉じ込める! こんな所、嫌い! 偽善者の溜まり場!
「お父さん、お母さん····娘さんは発達障害による二次障害で双極性障害に陥っています。今まで辛かったでしょう。治療して素敵な大人を目指していきましょう。焦ることなく、ゆっくり治療していきましょう」
両親が担当医と話が終了してから独居房にやってきた。病室の外から看護師が監視している。
「アンタ、良くなるために治しなさい。施設にも入れないじゃない」
一緒に住もうとなんてコッチから願い下げだ!
アタシは思いの丈を両親にぶつけた。
「がぁー! 死ね!! 死ね〜!! 」
母の頭を鷲掴みして壁にぶち当てる。
父親がナースコールお押しながらアタシの手を抑えつけた。
「このキ○○イが! お前が死ね」
「先生! 話しかけて拘束してますが制御できません」
担当医の判断の元、別の看護師が直ぐに駆け付けて注射を打たれ意識が無くなった。
帰りたくない家に戻らずこの病院で薬と生活を管理された。
良い大人って何? 監視され続けて何が良いの?
自分のやりたい事····自由に彷徨いたい。
「先生、アタシ散歩がしたい」
「そうだよね。白い壁に囲まれた部屋からちょっと出かけて気持ちを切り替えよう」
先生、看護師、アタシを入れて3人で院内のコンビニへ行った。
「アタシはお散歩に行きたいって言ったんですけど」
「うん、これもお散歩だよ〜薬も飲んでるししっかり歩けているのかをちゃんと観たいから。大丈夫なら今度中庭に行こう」
コンビでカッター発見。
とっさに身体が動いて梱包されてるカッターナイフを取り出し握りしめ直ぐ二の腕から手首をザクザク切り刻む。
「ちょっと、止めなさい」
先生はカッターナイフを握りしめている手を抑えアタシの行動を制御しようとする。
先生はアタシに言わせたら偽善者。アタシの手を掴んでいる先生の腕を思い切り噛み付いた。
「いたっ! 噛んでる、噛んでる! 警備呼んで! 」
コンビニの床をアタシの血で模様ができる。看護師が取り押さえるがアタシの邪魔をする看護師をザクザク刺してアタシの身の回りをスッキリさせた。
警備がアタシの目の前に現れるまでリスカがどれだけできるか無我夢中で斬りつける。
最後のカットは首にカッターの刃を当てようとしたら血と歯型が付いた手で先生は、またアタシの行動を制御した。
「今はお散歩を楽しむんだよね? 血だらけになったら寒すぎちゃうよ。取り敢えず止血のために病室に戻ろうね」
感動する心がアタシにはないが
「ありがとう」と伝えた。
勝手な思い込みかもしれないけど、始めてアタシを分かってくれた偽善者に感謝した。
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